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佐渡島の北半分を斜めに走る大佐渡山脈。ほば真ん中にあるドンデン山をはじめ、あちこちにシバ草原が広がります。これはながい年月つづいてきた放牧が育んだもの。というのも野生のシバ=ノシバは、牛に食べられ踏まれるほど勢いを得る、まさに放牧とともに栄える緑だからです。
かつて春の農繁期に荷役や耕作に活躍した牛は、その多くが夏から秋にかけ山に
放されました。
一年の半分ちかく牛は山にあり、気の向くままに草を食み、移動し、休む。
そうした、日本各地に見られた「夏山冬里」(なつやまふゆさと)という牛の飼
育スタイルは、佐渡の伝統でもありました。 |
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佐渡ならではの背景としては、相川の佐渡金銀山の存在があります。
鉱山の発展とともに急激に伸びた人口を養うため水田がひらかれ、その耕作と施肥のために牛もまた増えました。
一方、薪炭や用材、坑道の支柱の需要も増したため、山の木が盛んに伐り出され、そこに牛が放たれる。
大佐渡の草原には、そうした歴史もあったわけです。 |
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草原にたたずむ時、心地よい解放感をいだくのは牛たちだけではありません。
ある調査では、国籍、民族をこえ人間に共通して好まれる景観とは、林を近くにひかえた見通しの良い草原だそうです。
なぜなら遥か遠い昔、ヒトが種として成立したときの環境が、まさにそうしたものだったから。
(品田穣『ヒトと緑の空間-かかわりの原構造-』東海大学出版会)
眼下に国仲の沃野と日本海の青海原を遠望し、ちかくに憩う黒毛和牛の群れを眺めながら、ゆったりした時間の流れに身をまかせる。
そんな山上の草原が、この島にあります。 |
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